コラム「記者レビュー」
特番が増えるこの時期、複数のテレビ局で定番の警察密着番組も放送されている。勧善懲悪の構図を「娯楽」として提供してきた番組だが、私は素直に楽しむことができず、警戒しながら見てしまう。
というのも、テレ東が昨年3月に放送した「激録・警察密着24時‼」について、過剰な演出や不適切な内容があったとして、今年5月に謝罪した問題があるからだ。
問題点の一つとしてテレ東が挙げたのは、番組で「逮捕した」と取りあげた人がその後に不起訴となっていたことに、番組内で一切言及しなかったことだった。
日テレ系で12月4日に放送された「警察魂2024~悪いやつらは許さない‼~」では、逮捕の場面にテロップで「罰金刑」や「起訴猶予」と補足していた。しかし逮捕を「クライマックス」のように描く構成である以上、その補足がどれほど視聴者の印象に残るかは、疑問が残る。
テレビ朝日系で11月22日に放送された「列島警察捜査網THE追跡2024秋の事件簿」では、窃盗の疑いがある男性の自宅へ捜索に向かう場面で、男性が玄関から出てくると、「身体から漂う強烈な臭い」と紫色の煙が立ったテロップが表示された。CM後、酒臭かったと明かされる。窃盗の嫌疑と体臭に、いったい何の関係があったのだろうか。
テレ東の件では、当事者をおとしめるような演出も問題になったはずだ。今年6月、テレビ朝日は「当事者の人権やプライバシーへの配慮など、厳しい社内基準を定めた『警察密着番組制作ルール』の遵守(じゅんしゅ)を徹底しております」と取材に回答している。そのルール自体がまだまだ甘いと言わざるを得ない。